お施主さまご夫婦と初めてお会いしたのは竣工から2年前の冬。その時、リノベーションにしようか、それとも建て替えようか。なかなか相談できるところと出会えず、迷われていました。
そこで両方のケースをご夫婦のライフスタイルと照らし合わせてご提案。耐震診断士による「耐震診断」や、耐震アドバイザーによる素材の選定など、プロの視点でしっかりとお伝えした結果、愛着のあるお住まいをしっかりと安心できる家にする「耐震改修リノベ」を選択されました。
< 一階洋室 >
これまで使いにくかった一階洋室は、和室に。長く住み続けるにあたり将来的に一階を中心とした生活になることも考慮して寝室にもなるように計画。 布団を収納できる大きな収納も設けました。 ダイニングでごはんを食べた後に、ちょっとゴロンと横になれるくつろぎのスペースです。 また部屋を仕切る壁面には「耐力壁」を増設。構造計算をしっかり行い、地震に強い骨組みを作りました。
< 二階和室 >
既存の窓をそのまま生かしました。古くなった砂壁から、しっとりとした漆喰の壁が落ち着いた雰囲気を醸し出します。以前のおうちの様子もどことなく感じることのできる工夫です。
< ダイニング >
これまで収納だった西側の壁に窓を新設し、心地よい風を感じながらお隣を借景を楽しめるダイニングに。 キッチンからの出入りなど家事導線を大切に考えました。
< キッチン >
独立していたキッチン部分。無駄なスペースを削り、機能的で使いやすいキッチンになりました。
*玄関*
傷みの少ない既存の玄関はそのままに、内部からリノベーション。たっぷり入る造作の靴箱を造り付け、寒さを遮る引き戸には、半透明のポリカボーネードを採用。 玄関を開けると、木の香り・光を感じる明るい玄関に生まれ変わりました。
*洗面*
これまで使っていなかった階段下の空いたスペースを有効活用し、収納と洗濯機置き場を確保。コルクの床はお風呂上りでも暖かいのが特徴です。
< 屋根 >
耐震改修のポイントとなる屋根は、重たい瓦屋根を撤去し、代わりに軽く・耐久性の高いガルバリウム鋼板に葺き替えました。なんと!計算の結果、約2.3tも軽くなったようです。大きい車一台分…。これでおうちも肩こり解消ですね
< 外観 >
老朽化していたお住まいは、窓回りから雨漏りが発生していました。そこで家全体をサイディングで包み込みコーティング。門扉や玄関はそのままですが、明るい印象になりました。
リノベーションをするにあたり、全面改修できるのは一番の理想ではありますが、実際のところ上を見ればキリがないのが現状です。ご予算もある中で、じゃあ何を優先してリノベーションするのか、一級建築士と一箇所ずつリフォームする箇所の選定をしていきました。 そこでお施主さま選択されたのが、これからの生活の大半を過ごすことになる1階をメインとしたリノベーションでした。 家族を守る「耐震」、快適な暮らしに直結する「断熱」を一番に考え、新しい暮らしに向けた「間取り替え」を提案いたしました。
〜結びの家、の由来〜
一、 思い出を結ぶ
一時は建て替えも考えましたが、自宅を住みついて行くという決断に至りました。思い出の我が家と新しい生活がリフォームによって結ばれます。
二、 構造を結ぶ
住み継ぐにあたり、元の構造とおかにわの技術を結び、耐震性や断熱性を向上させました。屋根を葺き替えたり、二重窓を取り入れるなど、様々な工夫が施されています。
三、 暮らしを結ぶ
壁によって分断されてしまっていた間取りを、使いやすく結びつけました。階段も段数を増やし、購買を緩やかに、昇りやすくしました。
四、 風景を結ぶ
風景を切り取る窓(ピクチャーウィンドウ)を設け、室内と庭を結び、広がりのある空間をつくりました。
五、 人生を結ぶ
年齢とともに、家族のカタチや暮らし方は変わります。その節目にリノベーションを行うことで、これまでの人生と新しい人生へと結びます。